2022.01.16
78号:会いたい!湯島本郷まちの人
「安心感(あんしんかん)」の3文字をとって「あしか」です。新社名を社内で公募したところ「自分たちが作る製品を安心感を持って使ってほしい」という思いを込めた案を、綾瀬の工場で働く女性が出してくれたのです。モノづくりの現場で働く方から、品質への思いが込められた名前が提案されたことは嬉しかったですね。
企業ステートメントも「つかう人を思って、つくる」なんですが、製品を使っていただく方に「あしかさん」と親しみを込めて呼ばれる会社にしたいと思っています。
2012年に社長に就任したんですが、今が一番大変です(笑)。これまでもリーマンショックや震災など不況はありましたが、医療業界への影響は限定的なものだったんです。だけど、新型コロナの発生は違いました。医療の現場を直撃し、 マスクやガウンなどの消耗品がなくなり、診療や検診も止まって現場は大混乱。 今もまだ続いています。
一方で、コロナをきっかけに考える時間が持てたという側面もありますね。弊社の場合は会社統合を進めることができました。
当時、工場も止めなくてはならず、営業担当者は得意先を回ることもできなくなりました。社内にいるしかないのだったら統合の仕事を進めよう、という考えにシフトすることができたのです。
2つの会社からメンバーを募って合同チームを作り、若手を中心に、新会社のホームページやカタログを作りました。 こうした共同作業を通じてコミュニケーションも生まれ、社内の風通しも格段によくなったのです。2つの会社が一緒になるというのは、 簡単なことではありません。私自身も、 社内のみんなと対話をしながら一緒に作り上げることのできた経験は、かけがえのないものになりました。ケガの功名ではありませんが、苦しい時期に一緒に困難を乗り越えたことで絆が生まれ、この2年間に「種まき」ができたように感じています。
社員全員の写真
様々な製品を作っています
前身の中島商店の創業は1952年で、今年4月に70周年を迎えます。創業者は祖父ですが、今回の統合で社名から「中島」の名前を消したのは、みんなで作った会社という雰囲気にしたかったから。先人たちが積み上げてきたものを壊すことなく、さらに良いものにして次の人にお渡しをしたい。オーナー企業ですが誰にでもチャンスがある会社にしていくことで「百年企業」にしたいですね。
仕事はひとりだけが突出するのではなく、全体の調和が大切です。自分の受け持ちの仕事を丁寧に行うことで、次の人が少しでもやりやすくなるように心がけたい。皆が次につながることを考えていくことで、良いものが生まれると思っています。
湯島の魅力は、やはり人。私もこの街に育てていただきました。よそのことは知らんぷりするのではなく、声をかけてもらえる下町的な関係性はいいものです。新しい街だとそういう空気はなかなか醸成できないと思います。新しく住民が増えてますが、この雰囲気はずっと残ってほしいですね。
あしかメディ工業株式会社
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