2025.03.15
97号:紗都ちゃんの寺小屋ばなし14
講安寺住職、両門町会町会長 池田紗都さん
あちらこちらで梅の花が咲き、寒い景色に色を添えています。桜より一足先に春の訪れを感じさせてくれる梅の花の花言葉はいくつかありますが、なかでも「忍耐」は、寒さ厳しい季節に凛と咲き誇るその姿からきており「耐え忍ぶ」強さと美しさを教えてくれますね。
さて、「頭の上の蝿を追え」ということわざがございます。 人のおせっかいを焼くより、自分自身のことをしっかり始末するのが先だということです。イソップ物語にこんなお話があります。
ある時、一匹のお母さん蟹が子蟹に言いました。「おまえはどうしてそんなに横に歩くのかい。それじゃみっともなくて恥ずかしいよ。もっとまっすぐ歩きなさい。」 すると子蟹は、「お母さんがまっすぐ歩けば、私もまっすぐ歩きますよ。」と。とにかく人は他人の欠点はよく目につくものですが、大抵は自分を棚に上げて言っているものです。またお釈迦様のお言葉に、「他人の過失を見るなかれ。 他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ自分のしたこととしなかったことだけを見よ。」というものがあります。これはお釈迦様が修行されていた時代の言葉ですが、現代の私たちにも通ずる人間の本質を鋭く捉えたお言葉です。人はどうしても他人がしたこと、又はしなかったことが気になるものですが、人のことをとやかく言う前に自分はどうなんだろうと考えなければいけませんね。蟹のお母さんのように、誰かに文句をもらしている時の自分の姿はどうであろうか。どんな顔をしているだろうか。偉そうに言える、自分なのだろうか。 ここを見つめる癖がつくと、 SNSなどで話したこともない相手への一言も、変わってくるのではないでしょうか。
寒さに耐えながらも凛と咲く梅の花に勇気をもらいながら、自己を振り返り、おのれの振る舞いが恥ずかしくなかったのか考えてみますと、梅の花を見つめながら目線が下がってしまいました。 人間とは煩悩だらけで困ってしまいますね。だからこそ、 立ち止まって反省することが必要です。次の桜の時期は宴会シーズン、お酒はほどほどに楽しめたらいいですね。