2022.09.18
82号:まちラボプロジェクトレポート
文京学院大学人間学部コミュニケーション社会学科 中山智晴さん
世界経済フォーラムによれば、2050年には海洋プラスチックごみの量が海に生息する魚の量を上回るという予測がされている。私たち日本人は1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量では世界第2位であり、リデュース、 リユース、リサイクルの3Rを徹底するとともに、プラスチックに依存しないライフスタイルへの転換が必要である。
学生たちは、廃棄物を再利用し、より良い商品に変換するアップサイクルに注目した。アップサイクルとは、熱を加えるなどのエネルギー消費を極力しないで他の商品に生まれ変わらせるリサイクルのことである。国内で年間8,000万本が消費され、その多くが意図的、非意図的に廃棄されているビニール傘を削減するために、複数の企業の方と連携し、 廃棄傘からつくる「濡れた傘を繰り返し収納できる傘カバー」のアップサイクル商品を企画・販売すること、そして、 この製品をシンボルにプラスチック汚染の現状を一般の方々に広く啓蒙していく活動を展開することにした。すなわち、〝捨てられた傘を使った捨てられた傘を減らす取り組み〞を実施した。今のところ、価格との折り合いで商品化には至っていない。
本活動の独自性は、単に環境配慮型商品を企画・販売するだけでなく、商品に学生の活動概要、プラスチックごみの現状などを発信するQRタグを付け販売することで、情報発信機能も兼ねた商品開発を展開し、自分たちの活動や伝えたいことを通して環境問題などについて幅広い方々に考えるきっかけを作るという点である。試作品は、文京区エコ・リサイクルフェアで出展され、地域住民から好評をいただいている。また、NPO法人CFFジャパン、杉並区議会議員と連携し、脱プラスチックごみ削減における「杉並区プラごみ削減宣言」を作成、議会へ提出していただいた。今後の広がりに期待している。